ブックシェルフとトールボーイのどちらを選ぶべき? スピーカーを選ぶためにタイプの違いを知ろう

自分の聴きたい音楽に向いているのはどのメーカー? ブックシェルフスピーカーとトールボーイスピーカー、それぞれの得意分野を知っていますか? またアクティブとパッシブの違いは・・・? スピーカー選びで最初に陥りがちなそんな疑問について、どんな初心者にも理解できるように、基本的なところから始めます。


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スピーカーにはブックシェルフ型とトールボーイ型がある

オーディオ用やホームシアター用のスピーカーに「ブックシェルフ型」と「トールボーイ型」があるということはご存知でしょうか。聞いたことがなくても、きっと見たことはあるはずです。まずは説明を読んで、ああ、あれのことね、と思ってください。


ブックシェルフ型

ブックシェルフ型スピーカーは、ミニコンポの両側に置くようなタイプのこと。本棚に収まるサイズであることからそう呼ばれています。コンパクトなものからかなり大柄なものまでありますが、通常スピーカースタンドなどの台の上に乗せたり、机の上に置いて使用します。


トールボーイ型

ホームシアターなどで画面の両脇に置かれるような、背の高いタイプのことをトールボーイ型スピーカーと呼びます。ユニット(音の出る丸いところ)を複数持つ機種がほとんどです。

もっとどっしりした大型の床置きタイプのことをフロア型と呼んだりもします。では、それぞれにどんな特徴やメリットがあるのか見ていきましょう。



それぞれのタイプの特徴とメリット・デメリット

低音は容量が大きいほど楽に出せる

スピーカーの能率を語るときにもよく使われる比喩ですが、「大きな太鼓は軽く叩いても大きな音が出る。しかし小さな太鼓から同じ音量を出そうとすると、それよりずっと強い力で叩く必要がある」という事実があります。

これは低音の場合でも同じことが言えます。波長の長い低音ほど、発生させるために多くの空気を動かす必要があるというのがその理由です。

トールボーイ型はその容量を生かして低音を楽々と出せる機種が多いですが、ブックシェルフ型はコンパクトでウーファーユニットの口径も小さいことが多いため、アクション映画などに効果音として求められるような重低音の表現が苦手です。小さなスピーカーから量感のある低い音を出すのは、やはり大変なことなんです。


定位(ていい)は音の出口が小さいと緻密に定まる

技術的な用語になりますが、個々の楽器や歌い手の位置を、ステレオ環境で擬似的に再現している情況・性質を、音像定位、または単に定位といいます。

目の前で演奏しているわけではないのに、楽器の位置を指で指し示せるくらい正確に感じ取れるスピーカーは、定位の再現性に秀でたスピーカーといえます。

音の出口がコンパクトにまとまっているブックシェルフ型は比較的定位にすぐれますが、トールボーイ型はユニットが多く音の出る位置がばらつくので、そのぶん定位の表現は難しくなります。

大雑把に言ってみるなら、向かい合って音楽を聴く用途にはブックシェルフ型、効果音が大きな役割を果たす映画やゲームを楽しむのにはトールボーイ型が向いていると言えます。


ただもちろん、音楽によっては重低音が必須の場合もありますし、広々とした音場表現のためにトールボーイを選択するということも普通にありますので、一概に言えることではありません。また定位をきちんと再現するには、それぞれのスピーカーの鳴り方にもよりますが、ある程度の左右の距離も必要です。それがあって初めてセッティングが生きてくるので、スピーカー間の距離を調節できない一体型コンポなどの場合は、ステレオ再生でも定位の表現は難しくなります。



アクティブスピーカーとパッシブスピーカーの違いは?

たまに間違える人がいます

「必要なのはミニコンポ用だったのに、ネットで一番評判のいいスピーカーを買ったらテレビやPC用だった」なんてことがないようにしましょう。実際に初心者がしがちな間違いですが、その違いは「アクティブスピーカー」と「パッシブスピーカー」の違いです。オーディオやミニコンポ用は「パッシブ」のほうなので間違えないようにしてくださいね。テレビ用でもAVアンプにつなげるホームシアター用のスピーカーは、サブウーファーを除いてほとんどすべてがパッシブスピーカーです。


見分け方は電源の有無

アクティブとパッシブの違いは、要はスピーカーの中にアンプを内蔵しているかいないかの違いです。内蔵しているほうがアクティブスピーカーです。アンプは電力を使って動作するので、そのスピーカーに電源コードが付いているかどうかでアクティブスピーカーかそうでないかを簡単に判別することができます。

アクティブスピーカーはアンプを別途用意する必要がないので、オーディオに慣れていないユーザーにも気軽に使えるメリットがあります。USBにつなぐPC用スピーカーや、ACアダプターから給電するテレビ用、また充電して使うポータブルスピーカーなどもアクティブスピーカーの仲間に入りますよ。

それに対してパッシブスピーカーは、アンプを内蔵せず、外部のアンプの駆動力に頼って初めて音を出せるスピーカーです。電源ケーブルはなく、スピーカーケーブルだけで外部のアンプとつながっています。それだけピュアなスピーカーとも言えます。ミニコンポの両側に置くものも含めて、普通オーディオ用と言ったらこのパッシブスピーカーを指します。詳しくは以下の記事をこ覧ください。



スピーカーに音楽のジャンルの向き不向きはあるの?

ジャンルとメーカーの相性はある?

これから初めてオーディオ用のスピーカーを買ってみようという人にとって、ここがいちばん知りたい部分になるでしょう。自分のよく聴く音楽のジャンルに合ったスピーカーはどれだろう、できることなら自分が好きな曲を一番いい感じで聴ける音質の製品を選びたい。そんな気持ちはよくわかります。

特に、「どのメーカーの製品を選んだらいいんだろう」という悩みが、初心者にとって最初のハードルになります。しかしメーカーに関しては、ジャンルの向き不向きは「あると言えばある、ないと言えばない」と曖昧に答えるしかありません。多くのユーザーが、あらゆるジャンルの音楽をあらゆるメーカーのスピーカーで聴いて満足しているというのが実情だからです。もちろん多少の傾向はありますが、その傾向の主流や多数派に、音にこだわってみたいあなたの感性が重なっているという保証はどこにもありません。


ただ、「今こんなふうに聴こえているこの音楽をもっとこんなふうに聴きたい」という具体的な方向性を指し示してもらえれば、メーカーについても個々の製品に関しても、オーディオに詳しい人であればその向き不向きをはっきり示すことはできます。つまりすべてがあなたの感じかたを起点とする相対評価だということです。その評価を自分で下せるようになるために、このブログを活用していってください。製品に対する大勢のユーザーの主流の評価も、私自身の個人的な感想もどんどん書いていきます。

メーカーに関してイメージが湧かないのであれば、以下の記事をさらっと読んでみて下さい。短い記事です。



それでも優先順位は「自分」

個々の製品の持つ「音質」の、ジャンル一般への向き不向きもあると言えばたしかにあります。でも最終的には、もっと根本的な「音の好み」の部分がとても大切な要素になってきます。

オーディオ好きの評判だけを根拠にしてスピーカーを選んでしまうと、往々にして、自分が本当にしっくりくる音とは少しズレた音質を我慢して聴き続けることにもなってしまいます。同じ一曲でも、これがベストと感じる再生音質は人によって異なるのが普通ですからね。

ショップで試聴するスピーカーの迫力のある音や硬質で精細感のある音は、誰が聴いても「高音質そのもの」に聴こえて魅力的に感じるものですが、それを自宅で日常的に聴いて満足できるかといったら、そうとも限りません。なによりも自分の耳にしっくりなじむ音質を優先する姿勢を持ってさえいれば、結局は遠回りをせずに済みますよ。


このブログの「音質アイコン」で、個々のスピーカーの音質のとらえ方をイメージすることができます。どんな音が好みか、好きな曲をどんな音で聴きたいかイメージしてみて下さい。


ブログ内のパッシブスピーカーの紹介記事にはこのアイコンが1~3つ並んでいますので、おおよその価格帯とともにスピーカー選びの目安にして下さい。



無指向性のスピーカーとは

部屋全体で心地よく聴けるリラックス系スピーカー

無指向性(または全指向性)のスピーカーとは、全方向に音を拡散することを目的としたスピーカーのことで、左右のスピーカーが逆方向を向いていたり、上を向いていたりするのが特徴です。エムズシステムの波動スピーカーやタイムドメインのYoshii9などが有名ですね。

部屋のどこで聴いてもステレオ感があるとも言われますが、基本的には、定位の表現は割り切って作られたスピーカーです。音楽と向き合って聴くよりは、心地よく音楽の流れている空間を作り出して、居心地の良さを演出することのほうに長けていますので、ヒーリング系やリラックス系の音楽をメインに聴きたい人や、小規模のサロンや店内スペースに常時流すためのBGM用など、向いている用途には非常によくハマる、長時間再生に適したスピーカーです。

こうした無指向性のスピーカーのメリットとしては、音楽を聴くために1か所にとどまっていなくてもよく、部屋の中で移動しながらでも自然な環境音として聴くことができることが挙げられます。家事をしながら音楽を聴くような用途にも向いていますね。

また音楽が邪魔にならず、勉強や仕事、店舗のお客様の集中力を乱さないといったことも利点に数えることができます。さらに製品にもよりますが、スピーカーそのものが目立たず圧迫感を与えないデザインであることも、こうした製品の特徴のひとつです。


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使用目的をイメージすることが大切

今いる場所がスタート

スピーカーを適切に選ぶためには、まず最初に大体でいいので、使用したい状況はどんな状況なのか、聴きたい音楽はどんな音楽なのかを意識してみることが第一です。そして今の音をどんな方向に持っていきたいのかを、音楽を聴きながら一度考えてみることも大切です。今いる場所がスタートです。

あなたが普段、一番よく聴いているのは女性ヴォーカルやアニソンですか?それともクラシック?ロック?それをどんなふうに聴きたい?

さらにまた、演奏と向き合う派か、ながら聴き派か、テレビの横に置いて映画を見たいのか、低音重視か、綺麗な高音がツボにはまるのか・・・。そうしたことをあらかじめさらっと意識しておくことで、あなたの最適なスピーカー選びの過程で失敗する確率を減らすことができます。

個々のスピーカーの性格や音質の特徴については、機種別のページでなるべくわかりやすいように紹介していますので、参考にしてみてください。


方向性のイメージが定まったら、次はスペックの読み方も踏まえて、それから具体的な製品を見ていきましょう。