高音から低音までのバランスが良く完成度が高いNS-BP200

NS-BP200
形式:バスレフ型非防磁×2
出力音圧レベル:85dB
外形寸法:W154×H274×D287mm
質量:3.9kg(1台)
付属品:スピーカーケーブル(2m)2本
NS-BP200の音質は高精細,万能

音質レビュー


人気ナンバーワン

もう長いこと、Amazonのベストセラー1位(1万円以下)。現在この価格帯において定番と呼べる人気を獲得しているスピーカーです。


このNS-BP200は、基本的にはナチュラル系の素直な音質のスピーカーで、特に得意な分野があるわけではありませんが、そのコストパフォーマンスの良さから長期間にわたって多くのユーザーの支持を集め続けています。実際にクラスを超えた音質の良さで、仮に倍の値段でも普通に売れていそうな実力を持っています。


特別な秘密はないが、高精細かつ高品位

音質は安定のナチュラルサウンド。ひとことで言えば「平均点の高いごく普通の良品スピーカー」です。下から上まで全域にわたってバランスよく聴かせるタイプで、ヴォーカルからクラシック、ジャズ、アニソンまで多くのレビュアーの幅広い嗜好に対応していることを見ても、最大公約数的な音質と言えます。


横から見ると正方形に見えるほど奥行きがありますが、歯切れのいい低音はその奥行きの深い筐体から、上品で耳に刺さることのない高音はソフトドームツイーターから生まれてきています。クラシックのアンサンブルもジャズのピアノトリオも、なんら不満なく聴けるスピーカーになっています。


こうしたバランスタイプのスピーカーは、逆に言えば、アンプなりコンポなりの音質調整やセッティングで好きな方向に重み付けをしてやることで、ある程度自由にイメージを変化させられるという側面があります。もちろん根本的にキャラクターが変わることはないんですが、あとからでもそこそこ好みの方向に寄せていくことができます。

特に高域はコインや金属系のインシュレーターを敷くことでも、更なる明瞭さや硬質な感じを引き出すことができるので工夫してみるといいでしょう。

低音に関してはレスポンスもよく、サイズ以上の量感もありますが、エネルギー感という点ではどうかな。設置方法である程度増強できるかもしれませんが、パンチ力や重低音を求める人にはまた別の選択肢があると思います。「迫力」よりは質のいい低音を望む人に向いています。


音の解像度の高さ

こうした素性の良さで「最大公約数的な人気」を集める一方で、このスピーカーに関しては、音の解像度を評価する声が多数あります。そこが「個々のユーザーの評価の高さ」につながっている部分だろうと思います。


これまで特にこだわりなくミニコンポの付属スピーカーを使っていた人が「これまで聴けていなかった音が聴こえる」のを体験すると、そうでないスピーカーにはもう戻れなくなりますよ。

テレビ用として使えば、篭った上にレンジの狭い液晶テレビの音声もグンと改善されて、本来の臨場感が出てきます。この価格で「低音の質感」と「解像感」を両立しているのは評価すべきポイントです。


外観の特徴は?

後先が逆になりましたが、ここで外観の解説を。上の画像だとよくわかりませんが、上面と側面が「艶あり」で、前面が「艶なし」になっています。ひょうたん型のグリルネットはスタイリッシュというよりはユーモラスで、愛嬌がありますが、私としては取り去ってしまいたいところです。


最上のベーシックスピーカー

NS-BP200はテレビやサラウンド用にも使い回しが効くうえ、音楽用としても価格に比べてはるかにいいスピーカーなので、最上のベーシックスピーカーとして自信を持っておすすめできます。1万円以下のベストバイです。時々品薄になって少し値段が上がることもあるようですが、通常8000円台という値付けは破格です。



比較したい機種は?

同じ価格帯で直接競合する機種として、LS-K731がありますが、性格は少し違います。クラシックのオーケストラを含めて幅広いジャンルの音楽を聴かせてくれて、映画やゲームにも対応できる万能型を望むならこのNS-BP200、多少色付けのある音色で音楽を心地よくしたいならLS-K731を選ぶといいでしょう。


ステップアップしたいなら

ステップアップ候補としては、ヤマハで探してみても適当なものがありません。NS-BP200はラインナップの中で孤立していて、直接の上位機種というものがない。このような出来のいいスピーカーが、どういう経緯でひょっこり出来上がったのだろうと思って調べたら、2010年にCRX-550というCDレシーバーと一緒に発売された製品だそうです。もともとはミニコンポの付属スピーカーのような扱いだったんですね。それが単独で市場に評価されて今日に至っています。


他のメーカーのものから1クラス上の製品を探してみると、TEAC LS-H265が性格的には近いけれど、価格もそれほど離れていないこともあり、大きな差は感じません。ニアリスニングで使うならLS-301がその候補になるでしょう。


はっきりしたグレードアップを望むなら、LS-K901あたりも飛び越えて、価格は一気に上がりますがJBLのSTUDIO 230。「低音もよく出る好バランスの万能型」という点で比較になります。これは2クラスくらい上の製品になるので、音質もはっきりと格上です。価格的に検討できるのなら最初からこちらを狙ってもいいでしょう。満足して長く使えると思います。


こんな人におすすめ

もう製品の魅力は知っていて、あるいは「コスパ最強」とどこかで聞いて、予算は掛けられないけれどこれを買っていいかどうか迷い、最終的な判断を求めてこのページを検索で開いた人には、私からもどうぞお買いなさいと背中を押してあげます。総合性能においてこれが一番です。あなたの判断は間違っていません。


0.8万円のスピーカーか、これでちゃんと鳴るの?と思っている方には、今は1万円しなくてもこれだけいいのがあるんですと言ってさしあげましょう。まあたしかにこれがペア8000円というのはおかしな話なんですが…。


Amazon等の商品ページもご覧になればユーザーの評価をたくさん読むことができます。「安物買いのなんとやら」にはなりませんよ。私は2万円までの中ではLS-301とともにこのスピーカーを最も評価しています。(もちろん予算に余裕があるなら、STUDIO 230のように平均点タイプで更にいいものがありますので、そちらのほうも検討してみて下さい)


こんな人にはおすすめしない

PC用途の方で、1万円以内でとにかく低音の迫力(だけ)が優先的に必要なのであれば、これではなくてAC電源対応のアクティブスピーカーの中から検討するのが近道です(ただしUSB給電だけのものは、ほとんどの製品がダメダメです)。NS-BP200はまず全体のクオリティを重視したい人向けで、音楽をちゃんと聴きたい人に向いています。




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