LEKTOR 1はフルサイズより少し小さくて、それでいて音が薄まらない
音質レビュー
重たくない濃さがある
明るく軽快なZENSORシリーズよりもまろやかな音のLEKTOR(レクトール)。LEKTOR 1はローエンドながら、厚みのある低音を与えられ、濃厚な音楽表現を可能にしています。
中域の艶感に定評のあるダリのスピーカーの例に漏れず、女性ヴォーカルや弦楽器の表現が絶品です。音が広がるのもダリの特長。
ひと回り大きなLEKTOR 2なら、さらに豊かな低音でフルオーケストラを楽々と鳴らしますが、ニアフィールドで聴くならLEKTOR 1をおすすめ。設置面積も小さく、バスレフ穴も前に開いてて、置きやすいです。小さなカップで飲む、イタリア系のエスプレッソのような存在感です。
管弦楽によさそうだ
このスピーカーでなにを聴くのがいいかと考えて、無伴奏チェロ組曲(J.S.バッハ)などはどうかと思い当たりました。私の場合、低音の押しの強いトールボーイスピーカーで、チェロが等身大かそれ以上になって押し寄せるように来られるとどうしても重たく感じてしまい、CD1枚を集中して聴き通すことができません(軟弱)。かといってヘッドフォンで聴いても自然なスケール感がもうひとつ。だからこのLEKTOR1で聴いてみたいと。想像ですが、こっくりした低音がちょうどいいサイズ感で心地よく聴けるんじゃないかと思います。
お隣に気を使うマンションなど集合住宅にも向いていると思います。少なくとも、(小型の機種ではありがちなことではないかと思うのですが、)大音量で鳴らして初めて個性が発揮されるようなタイプではありませんので。
言葉は悪いかもしれませんが、こういう「地味め」のスピーカーがしっかり作られて、おそらくベストセラーというほど多くはないにせよ、日本でもきちんと売れているらしいところに感心します。
いい商品やいい表現は、きちんと人の心を拾い上げて、そこに市場を作れるんですね。値段もそんなに高くないですし。さすが専門メーカー。
比較したい機種は?
DALI全般が比較相手になります。ZENSOR 1、ZENSOR 3、もちろんLEKTOR 2も選択肢に入れて検討するといいでしょう。
DALI以外なら、TANNOY Mercury V1iやDENON SC-CX101が、それぞれ質感の違いはありつつも落ち着きと暖かみのある音で音楽を聴かせてくれます。
Mercury V1iは「しっとりした艶」を感じさせるLEKTOR 1よりも「朗らか」というイメージ。やや明るい感じがします。はっきり性格が違うことはないのですが、弦でいえばボウイングに似合うのがLEKTOR 1、ピッキングに似合うのがMercury V1iといった印象です。
ステップアップしたいなら?
LEKTORの1と2は、ステップアップというよりはサイズの大小で選ぶような関係かと思います。置き場所に特に制約がなければ、最初からLEKTOR 2を選ぶのもありです。
DALIで言えばいきなりMENTOR MENUET SEを狙うのもいいですが、そこまで行かないひとつ上のシリーズに、IKON(アイコン) 1 MK2があります。トップモデルのHELICON(ヘリコン)シリーズと同様にソフトドーム+リボンのツイーター構成が特徴で、伸びのある高域が好評です。
私には「こんな曲を聴くにはLEKTORではなくてIKONじゃないと駄目」というシチュエーションがなかなか思い浮かびませんが、でもやはり上位にはそれだけの良さがあってラインナップされ、選ぶ人がいるのだと思います。
LEKTORとMENUETとの差なら、別々に聴いてもはっきりわかるんですけどね・・・。一緒に試聴できるならどうぞ、という程度にIKONもおすすめしておきます。(iG)
AmazonのDALI LEKTOR 1の製品ページはこちら。 リンク先の黒(アッシュブラック)のほかに、ライトウォールナットがあります。