ZENSOR1の、年の離れた兄貴分

ZENSOR3
ZENSOR 3の音質は低音とくい,ほんのり暖色系

音質レビュー

お名前は

人気のZENSOR 1より一回り(二回り?)大きく、7インチ(180mm)ウーハーを積んでゆとりのある低音を獲得しているのが、このZENSOR(センソール) 3です。

今なら間違えたって平気なもんですが、私がオーディオに興味を持ち始めた頃は、いれぶんえるつー? じゅういちえるに?? いちいちえるツー???…なんと呼べばいいかわからなくて、試聴したいと言い出せなかった思い出が。だから余計なお世話と思いつつも、メーカー名や製品名に括弧書きで振り仮名をつけています。

ショップに赴いて「ZENSOR 3を試聴したいんですが」と言うと、対応した店員さんが「あ、ンソールのスリーですねー」と平気で言ったりするので油断ができません^^;

でも「ZENSOR 1に低音を足したような音ですよ」というその店員さんの言葉には、私もわりと納得でした。ZENSOR 1のいいところは損なわれていません。

解像感と艶のある高域にポイントのあったZENSOR 1と違って、こちらはむしろ低域寄りのバランス。人によっては出すぎると感じるほどの量感のある低域になっています(そうした場合はバスレフポートをスポンジで塞ぐ等の対策をしてみましょう)。


ZENSOR 1よりも落ち着きが出た

J-POPを聴くと落ち着いたのがよくわかると思います。落ち着いたといっても全体がぬるいのではなく、描写はきちんとしていて中音域の声のあたりだけに暖かみというか温度感を感じさせます。この感じはZENSOR 1の印象と似ています。

ZENSOR 1では多少「はしゃぐ」ように聴こえた高音も、ピラミッド型プロポーションの量感ある低音に支えられて、解像感と落ち着きが両立したと思えます。


音の質感はやはりダリらしく、独特の響きにぬくもりを感じる一方で、ZENSORらしい繊細な高域も持ち合わせています。293mmという奥行きを生かして、音場の広がりやスケール感の演出もお手のものの、「成長を遂げたZENSOR1」といったイメージの製品になっています。


比較したい機種は?

DIAMOND10.1

ZENSOR 3の音の質感はZENSORにしかないものですが、近い価格帯で軽快な中高音としっかりした低音という音楽性を持ったスピーカーに、Wharfedale DIAMOND10.1があります。

ZENSORと比べると音の広がりは少なめ。低音はキレがよく、量感もそこそこあります。高音はきれい目にまとめるZENSORとは少し違って、もう少しシャリ感のある、精細感を出すような出かたです。

艶感も全体に少しだけ感じられます。でも「意識すればほんの少し」という程度。ZENSORの艶感を5とすれば、せいぜい2くらいでしょう。


STUDIO 230

もうひとつ比較になる機種として、JBL STUDIO 230があります。

STUDIO 230はJBLにしては音の広がりはそこそこあるほうですが、その点ではZENSORのほうがもっと上です。

低音は量感たっぷりのZENSORに対して締まった傾向で、それを易々と出せている感じなので、アンプの調節でさらにアタック感を出していくことも可能でしょう。

高音はわずかにキラ感を感じさせるZENSORと比べ、無味無臭の素直な感じ。全体として乾燥した音ではないものの、個性としての艶感はほぼありません。DIAMOND10.1を2とすれば、1かそれ未満というところです。


大人のセンソール

ZENSOR 1と兄弟機種としても、10歳くらいは年齢が離れている大人な印象のZENSOR 3。能率も88dBとそこそこありますね。これくらいあれば夜間の小音量でもこじんまりとなり過ぎずに、スケール感を失わない説得力のある音の出し方をしてくれるでしょう。


低域がよく出ることに加えて、奥行きも30cm近くあってリアバスレフなので設置スペースにも余裕が必要ですが、音の広がりと艶のある音色をあわせ持つキャラクターのZENSOR 3は、この価格帯におけるリラックス系スピーカーのひとつの指標と言える機種です。

たとえば大型家電量販店でよく薦められることのあるB&Wと比べると扱いも楽ですので、実はオーディオはよくわからないんだけどこれくらいの値段でいい感じのスピーカーが欲しいんだ、といった初心者ユーザーにもおすすめすることができます。(iG)

AmazonのDALI ZENSOR 3の製品ページはこちら。リンク先は写真の「ライトウォールナット」ですが、他に「ブラック」もあります。


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