昔のCDを引っ張り出してきて聴いてみたくなるD-412EX

D-412EX
D-412EXの音質は中高音キレイ,見通しクリア,高精細

音質レビュー

チキチキシンバル

クリアな高音ウェルカム?ドライなシンバル当然?俺に本物の高音を聴かせろだって?入ってる音全部聴かせろって?

よーし、わしに任せなさい。そういうのが好きなら、じゃあこれを持っていけ。D-412EXこれで間違いない。D-212EXよりさらに伸びるし、透明感もあるし、引き締まった低音だって出ておるぞ。解像感はもう最高じゃ。きれいな音で高精細。これがHi-Fiじゃあ参ったか!

箱の奥行きも最高レベルだけどフロントバスレフだから問題ないじゃろ?


マスプロダクト的ハイファイ

オーディオ製品のテレビCMって今でも放映されているのでしょうか。90年代にはよく見ていた記憶があるのですが、最近はとんとご無沙汰な印象です。ONKYOの製品は「今よりも少し大人」に憧れる思春期の心を、昔からうまくすくい取ってきたと思います。

鈍重さのない清らかでクリアな音。丸め込まれずに保たれたシャープさ。ときに背中を押してくれるエネルギー。そうした音楽のイメージを、ONKYOは一貫して誰にでも伝わるわかりやすさで提示してきました。

小難しく考えるならこれは、人が(それも若者が)音楽に対して様々に抱く共感を、音を一定方向に色付けして損なってしまうことのない、一面において一種抑制的なプロダクトポリシーです。

それこそが趣味たる所以であることは承知の上で言ってみれば、スピーカーに限らず、自分の趣味の範囲内で情報の色調を決めてしまうのは、大人になってからでいいのかもしれません。

いえオーディオに限らず、判断力や趣味的な情報の構成力はまだ足りずとも、ただ受動的に刺激に満ちた世界の様相を感じているだけであっても、思春期の素直で鋭敏な心はその仕事を果たしているのだと思います。そんな思春期・青春期を経て大人になってこそ、趣味も分別も次第に定まってくるのでしょう。

若者が大人になるまでのあと少しの間に、たくさんの美しいものをストレートに見て、聴いて経験してほしいものだと思います。のちに社会に枉げられないための力を涵養する、とりあえずそのことが若者の仕事だと思うからです。そしてそんな願いを持つのは私だけでなく...、あなたも、そうじゃろ? (iG)

 カテゴリ「5万円‐10万円」
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 さすがですね。


比較したい機種は?

過去の路線上にある高級スピーカー

D-412EXを検討している人は、基本的に「ONKYOの音が好き」という人でしょう。下位の機種をすでに愛聴している人も多いと思います。だからその路線の上にあるD-412EXを選んで間違いはありません

でも世のなかにはONKYOの硬い音は苦手という人もいます。たしかにONKYOの音質は硬めで、しかも多少、派手めですよね。とげとげしさは感じなくても、やはり一音一音のエッジは立っています。ピアノなどソロ楽器の音を比べると、ヤマハが円く聴こえるくらいに。それに比較的低音も強くてエネルギッシュです。


音のきらめき

晴れた日の朝、海へ行くと、街中では決して得られない開放感を味わうことができます。でも波に映る朝日の反射が眩しくて、基本的にずっと目を細めていないといけません。眉間にもしわが寄ってきます。風を遮るものもなく、リラックスと開放感を得ながら体力的には消耗しています。夏の海水浴から家に帰ってきて、その「静かさと暗さ」にほっとした経験は多くの人にあると思います。

ONKYOが苦手という人が訴えるのは、朝の海の水面が眩しいように、音がずっとキラキラもしくはズンズンしすぎて鬱陶しくなるという部分です。いわゆる聴き疲れの発生です。硬質でクリアな音が好きな人でも、家で長時間聴いていると時にはそれが気になってきます。


ONKYOも好きだけど今回はそれ以外にも目を向けたいという人は、このページの2機種を検討してみてください。KEF Q300 Version UpB&W 685S2音に美しいきらめきを感じられるという点で比較対象になります。もちろん聴き疲れとか気にならないという人がB&W、もう少し柔らかめのものがあればという人がKEFです。


海外メーカーに負けていない

D-412EXの音は美しいです。先に書いたように、これまでONKYOを好んできた人にとって、D-412EXはチョイスとして間違いがありません。これまで聴いてきた音楽をさらにスケールアップして、海外製の個性的なスピーカーに負けない高級感ある音響で聴かせてくれます。

これは、早起きをして遠出しないと対面できない大海原の美しさのようなもの。この音源にはこんな表情もあったのかという満足感は、やはり下位の機種では得がたいものです。朝の海の表情を初めて眺め、潮の香りを呼吸した時の感動のようなものです。そんな感動がD-412EXでは得られます。間違いなく。


でもこの原稿を書いているのは春の午後なので(11月に書いた記事に、3月に追記しています)、ゆるくて柔らかい音もいいよね~、暗く篭った音も癒されるよね~、という気分です。昔のタンノイやハーベスでモノラル音源を聴いてみたい気分。


熱気がみなぎっている真夏に記事を書いていれば、ここでそのエネルギーに負けないようなFOSTEXJBLをおすすめしていたかも。

それらと比べれば、メーカーとしてのONKYOも案外、中庸と言えるポジションにあることがわかります。そのなかでもD-412EXは万能型の、広いジャンルへの対応力を持つ、ハイグレードスピーカーです。(iG)

AmazonのD-412EXの製品ページはこちら。低音の量感(が物足りないこと)についての言及がいくつかありますが、いやいやそんなことないのでは? というのが私の体感。低音もかなり出てくれます。




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