MAP-S1の基本的な機能、他にない特徴、そしてスピーカー選び

CDもラジオもネットワークも、各種端末からのワイヤレス再生もと、コンパクトボディに多機能がぎゅっと集約されたMAP-S1

先日紹介したM-CR610と比較しながら、その豊富な機能を解説します。また、おすすめのスピーカーも紹介します。

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MAP-S1の外観

なにができるの? 基本となる機能の説明

MAP-S1を使って、

  • CDが聴けて、USBメモリーに録音もできます。
  • ラジオが聴け、USBメモリーに録音もできます。
  • パソコンやホームネットワークサーバーに保存している各種音楽ファイルを再生できます。
  • iPhone/iPad/iPodやUSBメモリーを接続して再生できます。
  • ウォークマンを接続して、録音や再生ができます。
  • AirPlay機能で、iPhone/iPad/iPod/iTunesなどの音楽を再生できます。
  • Bluetooth対応機器とペアリングして音楽を再生できます。
  • CDや圧縮音源の高音域を補完し、さらに高音質で聴くことができます。
  • リモコンアプリを使ってスマートフォンなどから操作ができます。
MAP-S1の機能

解説

では、MAP-S1の多彩な機能をひとつひとつ見ていきましょう。適宜、先に記事にしたM-CR610との比較もしていきたいと思います。

1. CD
CD-DA(通常の音楽CD)と、MP3を記録したCD-RやCD-RWを再生することができます。M-CR610が対応しているWMAディスクには対応していません。しかし録音機能のなかったM-CR610に比べ、MAP-S1はウォークマンやポケットビット(SONYのUSBメモリー)にMP3で録音することもできます。

2. ラジオ
AM/FMに対応しています。こちらも録音に対応しています。

3. ネットワーク再生
PCや家庭内ネットワーク上に保存されている音楽を再生できます。再生できるオーディオ形式は次のとおり。
MP3、WMA、AAC(.m4a、.mp4、.3gp)、WAV、FLAC、ALAC、AIFF(.aiff、.aif、.aifc)、DSD、DSDIFF

DSDを含めて、M-CR610よりもさらに多様なファイルフォーマットに対応しています。ただし無線LAN接続の場合は、使用できるフォーマットが制限されます。

4. USB接続
iPhone/iPad/iPodやUSBメモリーを接続して再生でき、またウォークマンを接続して録音と再生をすることができます。ハイレゾウォークマンを接続した場合には、CDを超える高音質で音楽を再生できます。また、前面USB端子に接続された機器は自動的に充電されます。

5.ワイヤレス再生
AirPlayやBluetoothで対応機器からワイヤレスで音楽を再生できます。Bluetooth機器がNFCに対応している場合、ワンタッチでペアリングすることができて便利です。

6. 音質調整
DSEE HX技術で、CDや、またMP3などの圧縮音源を高音質にアップグレードします。MAP-S1に特徴的な機能で、従来の音源フォーマットをハイレゾ的に聴かせるための工夫になっています。

7. リモコンアプリ
付属のリモコンのほかに、スマートフォンやタブレットにリモコンアプリSongPalをダウンロードすることで、各種操作や設定がより楽にできるようになります。



ここがうれしい

登場時には「待望の全部入り」と言わしめたほどの機種。他のネットワークプレーヤーと比べた時、アドバンテージになる部分の説明です。

解説

M-CR610に比べ、CDやラジオ、さらにLINE IN接続した外部機器の録音ができるのが強みです(タイマー録音も可能)。より多くのファイルフォーマットに対応しているところも評価できます。高音質のDSDも再生できます

AirPlayに加えて、ネットワークを介さず直接送信できるBluetooth機能も備わるA/B両対応。対応機器をお持ちの方には高ポイントですね。NFCでペアリングも楽です。

また、WALKMANアプリを使って、Xperia機器の音楽を再生することもできます(こちらはAirPlayと同様に要ネットワークです)。

ハイレゾにこだわったMAP-S1らしく、圧縮音源やCDの音に超高音部分を付加して(DSEE HX)、さらに高音質で再生するように設定することができます。PS4などでもDVDに対して行っていたような、SONY得意のアップスケーリング技術ですね。

PCとUSB接続してDACとして使うこともできます。

ブラックとシルバーが選べます。

MAP-S1_color_silver

ここは残念

  • MP3録音のビットレートが最高256kbps
  • 液晶に日本語表示ができない

解説

MAP-S1ではCDやラジオなどの音源をUSBメモリその他にMP3フォーマットで録音することができます。そのときのビットレートが128kbpsと256kbpsの2段階になっていますが、私にはここが少し不満に感じるポイントです。なぜここをもう一段上げて、320kbpsにできなかったのか。

まあたしかに、ネットワークプレーヤーとして目玉になるような機能ではありません。録音できるだけでも、ありがたいことではあります。ビットレートが低いのも、「おまえらが録音したいのはどうせAMラジオなんだろ、JUNKとオールナイトニッポンなんだろ?」と言われれば、私に関しては、はいそうですと答えるしかないですし、個人的にはCDのデジタルファイル化はPCですることになると思うので、問題はありません。

ただ、あえてハイレゾプレーヤーを選んでみよう、そして買ってみようという先進的なユーザーの心が、256kbpsのMP3で本当に満足でき、安んじることができるとは思いません。CDの高速録音と処理能力の兼ね合いなどで決めた現実的な落としどころだったのかもしれませんが、液晶の日本語表示も含め、この機種にとって主要な機能ではないようなところで、きっちり詰めていない、練られていないという感じが、実はその他の部分でも見受けられるのです。


注意点をいくつか

1. 機能アイコンにはあえて「インターネットラジオ」を含めませんでした。

ネットラジオ機能

というのも、MAP-S1は機種単体ではインターネットラジオに対応していません。リモコンアプリSongPalをダウンロードすることで、radikoやTuneIn Radioといったインターネットラジオ放送を楽しむことができるようになります。付属のリモコンが簡単なつくりなこともあり、スマートフォンやタブレット、iPodなどの、アプリを動かす携帯端末がほぼ必須になります。

2. ちょっと勘違いしてしまいそうですが、MAP-S1で再生する音楽をBluetoothスピーカーに送信して聞くことはできません。またBluetooth接続でハイレゾ再生はできません。

3. 当初ひとつの売りであった定額制音楽配信サービスMusic Unlimitedが、2015年3月末に終了します。その代替となるサービスが登場するかどうかは、2015年2月1日現在、不明です。


サイズ

本体のサイズは以下のとおりです。(数値は突起部を含む)

  • 高さ  115mm
  • 幅   251mm
  • 奥行き 290mm

まあまあコンパクトな部類です。M-CR610よりも省スペースで設置することができます。


おすすめのスピーカーは?

MAP-S1にはスピーカーは付属していませんが、同社のSS-HA1/SS-HA3や、同時期に発売されたSS-HW1は、ハイレゾ再生というコンセプトで統一されていて、選択肢として安牌と言えます。

これらのスピーカーで一部のツイーターが上を向いているのも、ハイレゾによる音場表現をより効果的に演出するための工夫であるように思います。組み合わせるスピーカーとしてまず第一におすすめします。

それ以外のスピーカーを選んでみたい方は、だいたいこのあたりの価格帯から選んでみてください。

音質アイコンも参考にして、好みの組み合わせを探ってみましょう。


またハイレゾの精細感や空間表現という点から、再生周波数帯域も気にしつつ、私なりにいくつか選んでみますので参考にしてください。数字はランキングではありません。

1. BS192 2. CM5S2 3. Q300 Version Up/685S2 4. DIAMOND10.1 5. ZENSOR 3

このあたりを選べば、この高音質フォーマットに対応したメディアプレーヤーのパートナーとして、不足はないだろうと考えます。


総評

手持ちのCD音源をアップスケーリングして、ハイレゾ的な高音質で再生してみたいという人に、MAP-S1は向いています。そこが他の機種にはない大きな魅力です。ライブラリー全体を一気に高音質化できるという多大なメリットがあります。

ネットワークプレーヤーの中で随一と言える多機能ぶりで、「全部入り」「オールインワン」と呼べる要素を満たしてはいますが、厳しいことを言えば、その機能性にあと一歩の点も垣間見えることや、アップデートである程度対応済みとはいえソフトウェア的な完成度の甘さも指摘できます(ソフト面に関してはHAP-S1も同様)。

例えば公式サイトではネットラジオ対応を謳いながら取扱説明書には一切の記述がないことからも、製品の仕様がほぼ完成したあとになって、最後の最後にアプリの一機能として「盛った」ことがうかがえます。快適な使用のためには、スマホ・タブレットがほぼ必須になります。

見据える視線が高く、意欲的な機種ですが、多機能にして高性能のハードウェアと、生煮えのソフトウェアの組み合わせで急発進したという印象はやはり否めません。こうしたことを「よくあること」と思いたくはありませんよね。パーフェクトをかすっているんですよ。MAP-S1は、そこまでいっている。今後の着実なアップデートによる操作性の充実と、まだまだ先の話になりますが、後継機種のさらなる完成を期待します。(iG)

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