ケンウッドとビクターの「いいとこ取り」をしたJVC EX-HR9

発売時の価格が11万円前後と、なかなかいい値段のする高級ミニコンポ、JVC EX-HR9の概要を紹介します。

最初にウッドコーンに目がいきがちなビクター系製品ですが、デジタルアンプNew「DEUS」とともに「K2テクノロジー」でのデジタル処理による高音質化も前面に押し出したプロモーションを見るに、ケンウッドとの合流の成果も実った機種になっていると感じます。



JVC EX-HR9

JVC EX-HR9
JVC EX-HR9

JVC EX-HR9の基本機能と他機種との比較

JVC EX-HR9の基本機能

  • CD、CD-R/RW(音楽CD、MP3、WMA)
  • FM/AMチューナー。
  • USB接続したiPod/iPhoneの再生。
  • USBメモリー内の音楽ファイルの再生。
  • 付属品:リモコン、動作確認用単4形乾電池x2、FM簡易アンテナ、AMループアンテナ、スピーカーコード

同クラスの他機種との比較

EX-HR9の機能は、この価格帯のミニコンポ製品としては多くはありません。CD、チューナー、iPod等との連携、USBメモリーの再生は標準的な機能ですが、Bluetoothが付いていないのはこのクラスの製品としては少し物足りない部分です。

ただこの製品はウッドコーンスピーカーも含めて音質を最重視したシリーズの1台なので、そのあたりは理解した上で選択すべき1台になっています。Bluetoothは市販のレシーバーで「あと付け」もできます。



JVC EX-HR9の特徴的なところ

1. フルレンジウッドコーンスピーカー
コンパクトに見えますが奥方向に長く容積も十分の、9cmフルレンジ・ウッドコーンスピーカーを配しています。何よりもまず音の良さで定評のあるウッドコーンの美しい響きで、クラシックやジャズを中心にした音楽を楽しむためのミニコンポになっています。

2. 刷新されたNew「DEUS」ほかデジタル技術
デジタルアンプNew「DEUS」によりS/N比が向上して繊細な音の忠実性を増したほか、自動的にCDやデジタル音源をフォーマットに応じて最適化する「K2テクノロジー」で手持ちの音源をハイビット化、ハイサンプリング化することができます。ハイレゾ時代を迎えて、最近のハイクラスのコンポではこうしたデジタル補正が売りのひとつになっていますね。



各部のサイズ

本体
幅x高さx奥行き:280x115x289mm

スピーカー部(1台)
幅x高さx奥行き:120x161x264mm

本体の幅の広さはコンパクトなスピーカーで相殺されていますが、奥行きは本体、スピーカー部ともにそこそこあります。高さはないので、圧迫感を与えずインテリアになじみます。



総評・JVC EX-HR9の魅力

とくにウッドコーン関連では「あれもこれも載せました」みたいな機種を作らず、機能の切り分けというかバラ売りというか、単品メニューのような機種をたくさん出してくるJVCですが、このEX-HR9もやはり多機能といえる機種ではありません。

こういう多品種少量生産が個々のユーザーの細かいニーズに適合して支持を獲得しているという記事を何かで読んだのが、もう10年くらい前のような気がします。これだけ続いているということは、ブランド化を遂げたということでしょう。

でもあらかじめどの機能にこだわりをもって選ぶかという視点がないと、たまたま出会った機種に「これだ!」と閃いて買ってしまうパターンでもなければ、数多くの中からなかなかひとつを選べませんね。

そんな中にあってこのEX-HR9/7/5のシリーズは、「CDやデジタル音源にアップスケーリング的な補正を加えることでスタジオマスター品質を再現する」ことを前面に掲げるモデルです。手持ちのCDも圧縮音源もハイレゾに近似したクオリティで聴けるというのが大きな魅力になっています。この特徴はケンウッドからの流れではないかなと個人的には思います(違うかもしれません)。


シリーズ上位の位置づけの本機種EX-HR9は、本体部のサイドパネルや、写真ではわかりづらいですが底面に振動抑制パネルが入ったり、インシュレーターが真鍮製になっていたりと、下位とは微妙に差がつけられています。またスピーカーの素材からしてチェリー無垢材という点でも高級感があります。

ただ「この道具でできること」としての機能は下位2機種と一緒なので(説明書も共通です)、こうした違いに差額を出せる人だけのモデルということになりそうです。

採用するスピーカーは9cmのフルレンジ。アコースティックな音源やクラシック、きれい目のジャズなどにはこの上ない魅力を発揮します。特にニアリスニング用途にはおすすめです。スケールの大きさや低音の迫力も欲しいという場合には、よりサイズの大きな2WAYスピーカーを採用したひとつ下のEX-HR7を選ぶといいでしょう。

小さなスピーカーの魅力は、音が点(に近い面積)から出ること。そのことで「定位」がはっきりしてくるメリットがあります。EX-HRのスピーカーにもこうした特質がしっかり現れているようで、Amazonのレビューで現在一番上にある山本氏のユーザーレビューからも、それが温度感高く伝わります。一読をおすすめします。

 Amazonのページはこちら


ミニコンポのカテゴリページはこちらです。