ONKYO CP-1050とDENON DP-500M

オンキヨーからアナログレコードプレーヤーの新機種CP-1050が発表になりました。'15年1月下旬に発売予定となっています。(15年2月追記あり)

違いはカートリッジ
このところアナログプレーヤー関連では、Technicsの撤退(再参入あるのかな)やVestaxの倒産(復活してくれ)など寂しいニュースが続いていたので、この新機種の登場を歓迎したいと思います。もっと安い機種ならコンスタントに出てくるんですが、このクラスのものが新発売になるのはうれしいニュースです。
CP-1050
どうでしょうか。価格帯も見た目の雰囲気も、DENONのDP-500Mとよく似ています。DP-500M
なので早速パートごとにスペックを比較してみました。

結論から先に言うと、付属カートリッジに違いがありますが、スペックの上では機能的に大きな差は見られません。


ターンテーブル部の比較

CP-1050

  • 駆動方式 ダイレクトドライブ
  • 回転数 33 1/3rpm、45rpm
  • ワウ・フラッター 0.15%以下
  • SN比 60dB以上
  • ターンテーブル アルミダイキャスト製 直径305mm
  • モーター ブラシレスDCモーター
  • 起動トルク 1.0kgf-cm 以上

DP-500M

  • 駆動方式 クォーツサーボ式ダイレクトドライブ
  • 回転数 33 1/3、45rpm
  • ワウ・フラッター 0.1%以下(WRMS)
  • 起動時間 0.3秒以内で規定回転(33・1/3rpm時)
  • ターンテーブル アルミダイカスト径331mm(裏面振動吸収ラバーによる防振処理)
  • 負荷特性 針圧80gで0%
  • 回転数偏差 ±0.003%以内

両機種のターンテーブル部の違いは?
ターンテーブルの直径が違います。DP-500Mのほうが径が大きいです(26mm)。331mmはDENONの上位機種のDP-1300MKIIと同じ数値です。なんとなく大きいほうが高級感が感じられる気がします…なんとなくですが。

ちなみにDP-1300MKIIの写真はこちらです。
DP-1300MK2

ワウ・フラッターも数値の上では少し違いますね。この程度であれば誤差の範囲かもしれませんが。あとのスペックは同じか、片方の側にしか表記がなく比較できませんでした。


トーンアーム部の比較

CP-1050

  • 形式 スタティックバランス S字型トーンアーム
  • アーム有効長 230mm
  • オーバーハング 15mm
  • トラッキングエラー角 3度以内
  • 針圧可変範囲 0~4g
  • 適合カートリッジ質量(ヘッドシェルを含む) 15~20.0g

DP-500M

  • 方式 スタティックバランス S字型パイプアーム
  • 有効長 230mm
  • オーバーハング 15mm
  • トラッキングエラー 3°以内
  • 針圧調整範囲 0~4.0g(1目盛0.25g)
  • 適合カートリッジ重量 14.0~20.0g(ヘッドシェルを含む)

両機種のアームの違いは?
アーム部分の数値にはほとんど違いがありません。DP-500Mはヘッドシェル+カートリッジの合計重量が1グラム軽いものから対応していますが、でもほぼ一緒ですね。

ちなみにDP-1300MKIIではトーンアームの高さ調節ができるのですが、このページで比較する両機種ではそれができません。私が感じる上位機種との大きな違いはそのあたりになります。


カートリッジ部に違いあり

CP-1050

  • 型番 OC-105
  • 形式 MM 型
  • 負荷抵抗 47kΩ
  • 出力電圧 2.5mV ±3dB
  • 針圧 3.5g ±0.5g
  • 交換針 DN-105ST
  • カートリッジ質量 5.0g
  • ヘッドシェル質量 10g

DP-500M
 DSN-83仕様 (本体色:白色)

  • 形式 MM型
  • 出力電圧 4.8mV±3dB(1kHz)
  • 針圧 2.0±0.5g
  • 交換針 DSN-83 希望小売価格 4,200円 (税抜)
  • カートリッジ質量 5.8g
  • 付属ヘッドシェル質量 9.0g

 (新)DSN-86仕様 (本体色:黒色) ※シリアルNo.4046317222以降

  • 形式 MM型
  • 出力電圧 4.5mV±3dB(1kHz)
  • 針圧 1.4±0.4g
  • 交換針 DSN-86 希望小売価格 4,800円(税別)
  • カートリッジ質量 6.5g
  • 付属ヘッドシェル質量 9.0g

カートリッジ部分の違いは?
双方ともにMM型カートリッジが付属しています。DP-500Mのほうは新旧がありますが、新しいほうと比較してみます。

出力電圧…CP-1050は2.5mV ±3dBに対してDP-500Mは4.5mV±3dB
針圧…CP-1050の3.5g ±0.5gに対してDP-500Mは1.4±0.4g

これらの数値はあくまで付属カートリッジのものであり、カートリッジをお好みのものに取り替えてしまえば当然変わってくるところです。本体そのものの差とは言えません。

付属カートリッジとヘッドシェルの重量を合計してみると、CP-1050が15gに対して、DP-500Mは15.5gになっています。アーム部分の対応重量は両機種ともに20gなので、どちらにもまだ余裕があります。

参考までにMM型とMC型の定番カートリッジの重量を記しておきましょう。

MM型

  • SHURE M-44G 6.7g
  • オルトフォン 2M RED 7.2g
  • オーディオテクニカ AT-150MLX 8.3g
  • オーディオテクニカ AT15Ea/G 18.5g (シェル含む)

MC型

  • DENON DL-103 8.5g
  • DENON DL-102(モノラル) 13g
  • オーディオテクニカ AT33EV 6.9g

この中では重量のあるDL-102以外は全て、双方の機種ともに適合範囲内に収まっています。DL-102は超軽量のヘッドシェルがあればなんとかという感じです。それかカウンターウェイトを足すかですね。


その他のスペック

CP-1050

  • 電源 AC100V、50/60Hz
  • 消費電力 4W
  • 寸法 幅450×高さ158×奥行367.5mm
  • 質量 8.6kg
  • 付属品 MMカートリッジ、ヘッドシェル、EPレコード用アダプター、
    ダストカバー、アース付ピンケーブル、電源コード(2P メガネ型)

DP-500M

  • 電源 AC100V 50/60Hz
  • 消費電力 10W
  • W450×H170×D370mm(フット含む)
  • 質量 10.1kg
  • 付属品 45回転レコード用アダプター、カートリッジ付きヘッドシェル、
    ダストカバー、オーディオコード

サイズは「高さ」と「奥行き」が少しずつ違います。少し気になるのが「質量」と「消費電力」の違い。
見た目にもボディの厚みが少し違うので重さはまあいいとしても、CP-1050の消費電力はDP-500Mの半分以下です。内部の機構に差があるのでしょうか。それとも後発のCP-1050がより省電力になった?

駆動方式は両機ともにクォーツ制御のダイレクトドライブですが、
CP-1050が 「減速機構を持たない超低速ブラシレスDCサーボモーターを搭載」
DP-500Mが 「スピード検出にエンコーダーを採用したハイ・トルクモーターダイレクトドライブ」
という表現になっています。正直よくわかりませんが、まあ参考までに。

DP-500Mのメーカーページには付属品についての詳細がありませんが、取扱説明書のPDFを調べて追加しました。ページに書いたらいいのに。
それによると「オーディオコード」がいわゆるフォノケーブル、電源ケーブルは取り外し式ではなく本体から直接出ているようです。

ということで表記は違いますが付属しているものは一緒という事ですね。あと、両機種ともにインシュレータの高さ調節が可能とのこと。これもDP-500MのほうはPDFを見ないとわかりませんでした。奥ゆかしいのか?DENONさんは。


感想

見た目
この2機種の落ち着いた外観は、SL-1200系のようなDJ風味のものとは違う雰囲気を求めるユーザーには好印象でしょう。

DP-500Mのナチュラルなブラウンに対して、新機種のCP-1050は色が。なんといってもここが大きな違いですよね。「もうこの色だけでこっちに決まり!」という人も多いはずです。

機能はシンプル
双方ともに、フォノイコライザーやUSB端子といった最廉価機が持っているような機能はついていません。「基本的性能はしっかりしてますから、あとはこだわりに応じてご自分でどうぞ」という感じ。「ピュアオーディオ的アナログプレーヤーの入門機」といったあたりの位置づけになると思います。

価格
CP-1050の店頭予想価格は5万円前後、対してDP-500MのAmazonでの価格は、2014年12月末現在6万2500円程度となっています。
案外価格がいちばん大きな差なのかもしれないですね。とにもかくにも発売が楽しみな機種の登場です。



2015年2月下旬追記:

発売から1か月が過ぎ、ぽつぽつレビューも上がってきました。話をまとめると、Hi-Fi的な音のしっかりした製品に仕上がっているようですね。プレーヤーとして音への味付け的な要素は少なさそうです。

 前述のプリメインアンプとスピーカーを組み合わせて聞いた第一印象は、「レコードってこんなだったっけ?」というもの。曲間にうっすら聞こえるレコードならではのノイズとか、どことなく全体的に“セピア調”をイメージさせる雰囲気は、まさしくレコードそのものだ。ただ、世間一般でよく言われる「アナログ的な柔らかさ」という表現は、輪郭のぼやけた“眠い音”ともとられそうだが、そういったものは一切ない。

これを書いた記者の方も、レコードプレーヤーはほとんど初心者という様子なので、たとえば他のプレーヤーとの音質の違いなど、経験に裏打ちされたマニアックな視点からの微細な部分については言及がありません。しかしこのCP-1050が、アナログ入門に必要な水準は軽くクリアしていることは感じさせるレビューになっています。

 引用はAV Watchのこちらの記事からです
 オンキヨー「CP-1050」でアナログレコード入門

この記事ではアンプもスピーカーもONKYOの製品を組み合わせているので、いくらか硬質に聴こえているかもしれませんね。でもUSB端子などの付いた手軽で廉価な製品とは一線を画していることがわかります。廉価な製品だと、初心者でも「まあこんなものか」って言いますからね。「レコードって案外いい音するんですね」だとか、上のような感想は出てきません。

「アナログとCDの中間の音」というレビューもどこかにありましたが、それも好印象。そのような音であれば、カートリッジしだいで、好みに応じて変化を与えていける幅が大きいです。3万円くらいの製品だとそうした余裕がほぼなく、自分の好みに近づけようとしても変化をあまり実感することができません。CP-1050は、アナログに入門する初心者が、成長しながら長く使っていける製品になりそうです。

 Amazonにも販売ページができています。DP-500Mより1万円安というあたりで落ち着くのでしょうか。だとしたらさらに魅力的に感じますね。

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