優等生という形容がよく似合う音質のLS-K901

LS-K901
LS-K901の音質は万能

音質レビュー

名門の安心感

J-POP、得意です。室内楽、得意です。小編成ジャズ、得意です。激しいロックやフルオーケストラも、それなりに表現して破綻させません。どんな音楽ジャンルにも対応します。全方位向けにがんばって、けっこう高いレベルで達成した、そんな「にっぽんの優等生」的な存在です。LS-K731よりも一回り大きくなって、低域の量感も増したフラットバランス型になっています。

KENWOODのスピーカーは、基本的には万人受けするようなきれい系の音を特徴にしています。多くの人のイメージもそんな感じだろうと思います。でもこのK901は、単純に華やかというわけでもなく、いくらか大人っぽい高級路線に寄っているように感じます。同じ路線としては、過去に出たLS-K1000という機種を思い起こします。K1000はやや地味めの音でしたが、K901はそれとはちょっと違って、低音、高音を含め、出すところは出す元気さと、くっきりした解像感を持っています。

J-POPを聴くとキラ感があり、綺麗系なのがわかりますが、速い曲調についていける音の勢いもありますし、曲によっては落ち着きも感じられます。遅めの曲で軽くならないあたりには、Kseriesらしい安心感があります。シャープさも適度にありますが、なかでも一番得意だと思うのはLS-K731同様やはり中域で、人の声をなかなか心地よく聴かせてくれます。音のまとまりがよく、ボリュームを絞っても、音が痩せずにいい感じで聴くことができるスピーカーです。


オーディオファンより音楽ファンに

ひとことで言えばなんでもできる万能型の優等生で、「キラキラだって(やれば)できますよ」といったクールな風情。真面目路線とも言えるかもしれません。どんな音楽でも任せてしまえて、音楽とオーディオ機器の相性といったことは忘れて好きな曲に没頭することができる、そんな安心の音質です。

むしろこれがあるからこそ、突き抜けて個性的なのが他にひとつ欲しくなる。将来的にはもう1台、やんちゃなスピーカーを購入して、心置きなく壁のあちら側に突き抜けてみる、そんなチャレンジもできそうです。


標準レンズ的存在感

カメラ好きの中には望遠好き・広角好きと人によっていろいろ趣味がありますが、そういう人もしばしば50mm前後の標準レンズに戻ることがあります。50mmというのは人が肉眼で見ているのに近い領域をフレームしてくれる焦点距離なので、そのデフォルメのない世界を覗いてみて、やっぱり標準レンズは素直でいいなあと思うわけです。身体感覚との齟齬がないんですよね。

LS-K901もそんな標準レンズ的な存在感のスピーカーではないかと思います。JBLやDALI、クリプシュ、B&W、それぞれに慣れた耳で聴いてみて、これだよな、これだったよね、と思うような音がKENWOODの音ではないでしょうか。

またLS-K901は「ハイレゾ音源対応モデル」でもあります。今後ハイレゾがより身近になってくることと思いますが、この音が気に入れば、写真における標準レンズのように長く使っていけるスピーカーではないかと思いますよ。(iG)

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A-K905NT/LS-K901の組み合わせで、ビジュアルグランプリ2014システムオーディオ/ハイコンポ部門(10万円未満)金賞受賞


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